紙芝居劇むすび



2回目の事務所

事務所に入ると「おっどこかで見た顔だなあ」と嬉しそうにする人、照れて目をそらす人、様々な反応だ。私は「ブリジストン」というニックネームをいただいたようで、まあ苗字が石橋なので納得だが、両手で顔のあたりを丸くジェスチャーする人もいることから、タイヤのイメージもあるのかもしれない。「デコちん」「あんぱんねえちゃん」他にもいろいろあだ名をつけられている人がいる。(ちなみにカナヨさんは「ココのママ」)

朝はみんなで『ぶんぷく茶釜』の台本を手にとってそれぞれ声を出している。リーダーの演技指導が熱を帯びてきた頃、みんなの集中力が途切れ始める。途中いなくなる人もいる。西成警察の方にいただいた七夕用の巨大な笹が運ばれてくると練習は中止。隣のサポーティブ・ハウスの女性などが遊びに来ると「べっぴんやな~」とフラフラついて行くおっちゃん。「タバコを買ってくれ~」と入ってきたおっちゃんのサイフは空っぽだ。「こいつ昼飯を食う金がないんやろ。」お金を持ち合わせている人が数人で1000円を捻出した。

リーダーと昼食に行く。身の上話をおかずに中華を食べる。故郷のこと。いろいろあって無一文で大阪に出てきたこと。後悔の色は見られない。その経験を文章にして出版社に持ち込んだこともあるという。妙に生臭い魚の唐揚げを食べながら、そんな人生もありかなと考える。
ココルームに行くので、と別れようとすると近くまで送ってくれる。恋人を送るような、手でも握られそうな雰囲気に面食らう。彼は「おじいさん」ではなく生き抜いてきた「少年」のようだった。
by musubi-pro | 2005-08-06 22:22 | むすび日記
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西成・釜ヶ崎で紙芝居をするおじさんたちの表現活動