カテゴリ:紙芝居劇むすびについて
  • 人のつながりから生まれた紙芝居劇
    [ 2005-07-27 00:40 ]

人のつながりから生まれた紙芝居劇
紙芝居劇むすびについて
石橋友美 紙芝居劇むすびマネージャー

むすびは紙芝居グループですが、厳密に言うと紙芝居を口実に集まっている人たちの団体です。
場所はタダで借りているし、メンバーはパソコンとも携帯ともコピー機とさえ無縁のおじいちゃんたち(以下おじさんたち)、私もマネージャーとはいえ、むすびで十分な日当がでるわけもなく、週3日程度顔を出すパートタイムマネージャー。むすびは吹けば飛ぶような脆弱な体制で運営されています。
紙芝居をする楽しいおじさんたちの魅力にハマってしまった人たちは、人生の先輩たちから生きる力をもらいます。本当のステージは紙芝居の前後にある人と人との交流の中にあるようで、やはり紙芝居は「口実」でしかないような気がしています。
むすびの強みは、弱いが故の強さ、それは助けてもらわないと成り立たない、自給自足するのではなく、あちこちの力を分けてもらいながら存在できるありがたみ。自分のおじいちゃんに会いに行くのに、「ボランティアにいく」とは思わないのと一緒で、「どうしてるかな。会いに行きたい」と思わせる強みなのかもしれません。

事務所であるエッグスはほぼ年中無休で開き(午前中で閉まることがほとんどですが)、紙芝居公演は年間30~40回と忙しく、エッグスには毎日のように誰かが訪れます。おじさんたちの楽しみはとにかく「今日はどんな人に会えるんだろう」というワクワク感。生きている限り人は自分を成長させて、夢をもったり実現させることができるべき、冥土の土産は多い方がいい、というのが私の思いです。幸せなお年寄りの笑顔は、人生の後輩たちにどれだけ希望をもたらすか、紙芝居の後ろから客席を見ていて、強く強く感じます。なにより、あっぱれなおじさんたち。とりあえずはおじさんたちが光を放つ紙芝居をぜひ一度ご覧ください。


誕生
紙芝居劇むすびのスタートは2003年頃に活動していたNPO法人「かまなび」の「ごえん」というグループがきっかけとなります。野宿から畳に上がった生活保護受給者のおじさんたちの生きがいサポートをする同NPOが自然発生的にはじめた紙芝居活動でしたが、紙芝居に歌が入り、お面をつけ、小道具が飛び出すスタイルはこの頃に形成されました。「かまなび」が解散した2005年、おじさんたちは「紙芝居を続けたい」「できれば自分たちで運営したい」と「むすび」に改名、再出発を果たしました。「NPO法人こえとことばとこころの部屋」が「むすびプロジェクト」を設立、支援に乗り出し、他のアーティストとの関わりが生まれました。引き続き事務所を無料で提供してくださった「マンション・フレンド」、むすびの自立宣言を関係者に公表する場を提供してくださった「釜ヶ崎のまち再生フォーラム」など、多くの地元関係者のみなさまがむすびの誕生をあたたかく見守ってくださいました。

おっちゃんたちの紙芝居劇
日本最大の日雇い労働者の寄せ場であるあいりん地区、通称・釜ヶ崎で活動しているグループです。現在平均年齢が76歳の8名のおじさんたちを中心に、おじさんたちをサポートするスタッフや、遊びに来てくれる人、むすびに立ち寄って世間話をしていく人まで、何十人、何百人という人たちが「むすび」の輪を形成しています。
主な活動は紙芝居劇の制作と上演。手づくりで話をつくり絵を描き、保育園やお年寄りの施設などをはじめ、多種多様なイベントに出張公演しています。年間約30回以上の公演、動員数は1000人を超えるようになり、2007年にはイギリス・ロンドン公演、2010年には東京公演も果たしました。演目は「ごえん」時代からの昔話「桃太郎」や「ぶんぶく茶釜」、「むすび」になってからはオリジナル作品も手がけるようになりました。

むすびの紙芝居劇は、伝統スタイルの紙芝居と違い、複数のおじさんたちがそれぞれに役をもって1つの演目を演じます。お面をつけて、小道具や衣装も使って、ときには歌いときには立ち回りもして、観客のみなさんを楽しませようと心を配ります。ほとんどのおじさんが人前で演じる経験はこれまでありませんでしたが、歳を経た身体の動きや声からは、プロでもだせないような不思議な魅力が醸し出されます。その人の生きざま、強烈な個性がにじみでてくるのです。

おっちゃんたち
スターティングメンバーの多くは野宿経験者でした。現在も60~91歳のメンバーは生活保護を受給して暮らしています。日雇い労働者、公務員、研磨職人や、飲食店経営者など、おじさんたちの経歴はさまざまです。リストラや家族との離別、病気、さまざまな事情で釜ヶ崎にやってきたおじさんたち。紙芝居と出会って、仲間と出会って、自分たちを心待ちにしてくださっている観客がいて、いつの間にか自信を取り戻す人も少なくありません。

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むすびとの関わり  
上田假奈代 こえとことばとこころの部屋:ココルーム 代表

ココルームでとりくんできた「reading THE BIG ISSUE 大阪・紙の芝居劇場」に第二回三回と出演し、笑いと感動をあたえてくれた「かまなびごえん」が2005年7月にNPO法人かまなび「ごえん」から改名して、「むすび」という独立した有志の集まりを結成しました。

ココルームでは「むすび」の活躍を促進し継続をはかるために、広報や公演機会の提供などの支援を行なっています。

運営支援と表現力向上、活動の周知をはかることによって、「むすび」と社会の関わりを深めようとしています。それによりむすびのメンバーはもとより、現場で関わる若者や、異世代・異ジャンルの人間たちがそれぞれの活動の幅を広げるきっかけとなるため、また事務局のスタッフ自らも経験値を高め、全国のホームレス問題や高齢化問題に、ひとつのモデルとなるよう取り組んでいます。
by musubi-pro | 2005-07-27 00:40 | 紙芝居劇むすびについて | Trackback | Comments(0)


西成・釜ヶ崎で紙芝居をするおじさんたちの表現活動

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