紙芝居劇むすび



桜の下で

河内長野市にある長野公園の「さくらまつり」にて
こどもたちの手づくり体験コーナーで サプライズ紙芝居をする。

さくらのクッキーや 手すきハガキをつくっている親子連れが
焼いたり 乾いたりするのを待ってる間に紙芝居を見てもらう という企画。

長野公園は小高い山の上。
続く階段と急な坂道に おじさんたちは一瞬たじろぐ。
心臓が悪い人 膝が痛い人 体力がめっきり落ちた人
そんなおじいちゃんばかりで 上がって行く。

しかし丘にのぼると 川が流れ 街が見渡せ 桜もちょうど満開になっている。
「やれやれ どうなることかと思った!」
待ち時間には桜の木の下に座って
衣裳を身につけ お面をかぶってスタンバイしているおじさんたちに
通行人は興味津津。

78歳の女性が 趣味のカメラを手に
「紙芝居を撮ってもいいですか」と いつのまにか行動をともにしてくださっている。
手づくりハガキ体験に参加したおじさんたちと親子連れも自然と会話している。
 H j 「何を つくるのや?」
 女性 「ハガキです」
 H j 「カ ラ シ?」
 女性 「ハ ガ キ。 カラシは作れないでしょう…」

狙わずとも まわりの人たちの方の力を抜くのが上手なおじさんたち。
今日は白鳥さん登場シーンで おじさんたち選曲の「春が来た」を歌って
91歳Snさんの捨て身の絶唱に みんなゾゾっときたりして
春のおだやかな気候の中 屋外でのんびりと楽しんだ。

帰り道 急な坂道をみんなで恐る恐る下りていると
写真を撮っていた女性が また寄ってきてくださった。
「いいのが取れていたら 写真送りますね」

むすびは出会いに恵まれている。
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# by musubi-pro | 2010-04-04 21:34 | むすび日記

かわいいファン

昨年訪れた保育園の先生からお便りがあった。
こどもたちはもちろん 先生方や保護者さんたちも
公演以来 むすびのことを気にしてくださっていること。
そしてこんなエピソードが添えられていた。

 5歳の年長の子どもたち。先週無事に保育園を巣立っていきました。
 その中の一人の女の子が先日何気なく段ボールに書かれていた「釜めし」の漢字を見つけて
 「先生!これ釜ヶ崎の“かま”やろ!私読めるで!」と得意げに教えてくれました。
 人生初めて覚えた漢字は、むすびのおじさんたちの住む「釜」でした。

「釜ヶ崎」ということばを5歳にして覚えたこどもたち。
釜ヶ崎から来た楽しいおっちゃんたちのこと。紙芝居とともに思い出してほしい。
おじさんたちにこの話をすると
「わぁ~かわいいなぁ!」と目じりを下げて喜んでいた。
こどもたちのキラキラした瞳の中に 自分たちが刻まれた 最高の出来事。

おじさんたちにもいろいろあるけど こどもたちにはいつも励まされる。
# by musubi-pro | 2010-04-01 18:21 | むすび日記

紙芝居じゃないときでも

むすびのおじさんたちのファッションの自由さというか
仲良さそうな雰囲気というか
電車で移動するときにも おじさんたちは人の目を引く。

なんせ見たからにおじいちゃんたちなので席を譲ってもらうと
「ありがとう」と座る人も 「いやいや僕は…」と見栄を張る人もいるけど
「お前 ありがたく座っとけよ!」「おーい こっち空いたでぇ」
「あぁ どうもすんません」 エッグスの状態そのままである。

ネクタイしめて Jリーグの帽子をかぶったHjさんを
隣に座った女性がチラリと見る。会話しながらニッコリ笑った本所さんに
女性も思わずニッコリ。

おじさんたちが電車を先に降りて 電車に残った私とスタッフのKmさんを
手を振ったり ポーズを決めたり ニコニコして見送ってくれるおじさんたちを
横にいた女性たちが「うふふ」と やさしく見つめてくださる。

紙芝居をしていなくても周囲の人をやさしい気持ちにさせる
むすびのおじさんたちってすごい。

今日の紙芝居も一生懸命つとめてきた。
「よかったよ」と言うと ようやくホーっとした顔で「そう言ってもらえたら一番の喜びじゃ」
と輝いたSnさん。
帰り道タクシーがつかまらなくて たくさん歩かせてしまって恐縮していると
足の悪いSiさんが「なんのなんの。ちょうどいいリハビリになるよ」と
元気いっぱいに答えてくれた。この強さと明るさにいつも助けられる。
# by musubi-pro | 2010-03-20 22:24 | むすび日記

じいちゃん少女「トモちゃん」

旭区の福祉作業所で 通所のおばあちゃんのお誕生日会をにぎやかす。
今日の出し物は「トモちゃんとカッポレくん」。
むすびの十八番「ぶんちゃん」に続く 5歳の女の子もの。

少女を演じたらピカイチのHjさん。
紙芝居前に衣装とカツラをつけ 役作りのため昨日購入した「赤い靴下」を着用。
ソファに腰かけて 台本を読む姿は すっかり可憐な少女「トモちゃん」である。
しかし演じ終わって歌った「街のサンドイッチマン」のダンスを踊る姿はやっぱりオッチャンでした。じいちゃん少女「トモちゃん」_e0035629_10421166.jpgじいちゃん少女「トモちゃん」_e0035629_10422557.jpg







むすびのおじさんたちは高齢者にはとくにやさしい気がする。
「自分たちだって高齢者だけど…」
苦しくて 楽しい人生を生き抜いてきた同志たちにエールを送るように
「また来年も来るから お互い長生きしましょうね!」と
語りかけていた。
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# by musubi-pro | 2010-03-11 20:38 | むすび日記

曇りの日

90歳のSnさんが実は91歳だったらしく 9月には92歳になるということが発覚。
もうサバ読まなくても… 
という話でもなく 単なる勘違いと きちんと計算した人がいなかっただけ。
「なんか損した気分じゃのー」とSnさん。

ときどきボランティアに来てくれる大学生が
就職活動の途中寄ってくれて「ほーやっぱり景気悪いのか」とか話して
「がんばってねー!」と送り出す。

これまた就職活動中の女性が久しぶりに顔をだして
「最近どうしてたんや」
「一緒に紙芝居行くか?」と誘う。

いっぱい娘や息子たちがいるようで おじさんたちの毎日は
楽しいにちがいない。

今日は夕方ココルームで紙芝居。
インドネシアなどアジアのアートマネジメントの人たちに紙芝居を見てもらう。
言葉が通じなくても 人生の年輪の味は各国共通みたいで
みんな優しい笑顔で見てくれた。

人を素敵な笑顔にできる人って すごいと思う。
# by musubi-pro | 2010-03-04 20:55 | むすび日記


西成・釜ヶ崎で紙芝居をするおじさんたちの表現活動

by musubi-pro